メダカの飼育①(基本)

<メダカの飼い方>

メダカは元々丈夫な魚ですので、水が漏れない容器と水。それと、メダカの隠れ場所になるような物(流木や水草など)とエサ。があればメダカを飼うことができます。屋内でも屋外でも飼育は可能です。
一般にメダカの寿命は1~2年と言われていますが、人工的な飼育下では長いものでは、4~5年生きる個体もあるようです。

(飼育容器の大きさの目安)

飼育容器は、メダカのおうちとなる水槽です。飼育匹数により大きさを決めてください。
1匹/1リットルを目安に水槽を選びましょう。数匹なら金魚・メダカ鉢で飼育できます。
エアレーションする事で1匹/1リットルより数を入れられますが、ストレスの原因となるので多く入れすぎるのは避けた方が良いです。

(水槽のレイアウト)

基本的にメダカは田んぼや小川に住んでいる魚ですので、泥底を本来は好みますが泥にかぎらず砂や砂利などでも問題はありません。ただ、メダカはおどろいた時などに川床に潜り込む習慣がありますので、細かいものを選んだほうがメダカのためにはいいのかもしれません。市販されている赤玉土や大磯砂、川砂などでも可能ですが、空き地や河原から取ってきた場合は、枯れ草などのゴミが混ざっていますのでよく洗った後、底に約1 センチほどの厚さで入れます。

牡蠣殻をネットに入れて底に引きその上に溶岩石の細かい物を敷き詰めるのがオススメです。牡蠣殻でpHを中性に保ち溶岩石にバクテリアがつきやすいので水質が安定します。
リセット時も土と違って洗ってまた使うことが出来るのが最大のメリットです。

赤玉土を使う場合は、定期的な清掃と清掃時に赤玉土を1週間天日干しをすることで、長く利用する事が出来ます。
コツとしては、天日干し後に水を入れて新しい赤玉土を少量(ひと握り程度を数日に1回)足して上げることで、水質が安定するようです。
水草は酸素の補給と卵を産みつける場所、それから容器内の余分な栄養分(汚れ)の分解者としてバクテリアが棲む場所でもありますのでできれば水草がある方がメダカにとっていい環境だといえるでしょう。

(水流について)

メダカが本来好んですむ場所は、小川や池、田んぼなどの水流のあまりないところなので、メダカの泳ぐスピードは決して速くありません。また瞬間的には素早い動きをすることがあっても、長時間その動きを継続することはありません。
このことからメダカが生活するための第一の条件としては、水流が弱いことがあげられます。水槽でメダカを飼う場合にも大きなフィルターやエアレーションなどによって水流が強くなりすぎると、メダカには過大なストレスがかかることになるので注意が必要です。

(水質)

メダカを上手に育てるコツは水質管理です。水が良ければ病気になりにくく大きく育ってくれます。メダカは弱酸性から弱アルカリ性くらいの水を好みます。水をアルカリ性に変えてしまう砂(サンゴ砂等)もあるので注意しましょう。サンゴは、水に入れておくと入ってる間は溶け続けてしまいます。
牡蠣殻であれば酸化して溶けだしても中性辺りで止まるのでサンゴより安心して使えます。

水道の水はほぼ中性なので使えます。ただし消毒の為の塩素がメダカにとって猛毒なのでこれだけは取り除きます(カルキ抜き)。塩素の中和にはショップ等で販売している「塩素中和剤(カルキ抜き)」を使用するか、もしくはバケツに水を汲んで外に出し2~3日おくなどすればほとんど塩素は抜けます。

中和剤を使わなくてもバケツに水を汲み数時間エアーレーションすれば、カルキを飛ばすことが出来ます。時間が経つと菌が増えていくので良い状態の水で水換え等が出来ます。

(バクテリアの繁殖)

塩素が抜けたからといってメダカにとって良い水かといえばそうではありません。この状態は「新水」といい、メダカにとって大切なバクテリアやプランクトンがほとんどいません。一週間くらい経つと水がなれてきて「古水」になります。この状態になるまではエサを控えて水が汚れないようにしましょう。
もしすぐに「いい水」にしたいのなら市販のバクテリア繁殖促進剤を入れるといいでしょう。
個人的にはジクラがオススメです。

(水質を悪化させる原因)

死んでしまった個体の放置は問題外として、全てが餌の与え過ぎにあるといって良いでしょう。
餌は栄養の塊であり、メダカが食べることで分解され栄養素が大幅に減少され糞尿となって排出されます。
メダカの糞尿に残った僅かな栄養素をバクテリアが食べることで分解され水質が保たれます。

・餌→メダカ→糞尿
・糞尿→バクテリア→アンモニア(猛毒状態)
・アンモニア→バクテリア→亜硝酸(かなり毒素が高い)
・亜硝酸→バクテリア→硝酸塩(ほぼ無害だが溜まる一方)
・硝酸塩→水換え→安定した水


残り餌は栄養分がメダカに分解されること無くそのまま水中に残ることにより第一段階のバクテリアが増殖し、バクテリアのバランスが崩れアンモニアや亜硝酸が水槽内に発生し猛毒状態になります。
飼育水に透明度が無い場合は、餌の与え過ぎで第一段階のバクテリアが増殖し第二・第三のバクテリアの処理能力が追いついていない事が多いです。
また、メダカは活性化している時期は餌をいくらでも食べてしまいますが、実際にはメダカは少食ですから、消化不良をおこし十分に栄養分が分解されないまま排出されるので上と同じ理由でバクテリアの処理能力が追いつかなくなります。
そして、水換えを怠ると起きる富栄養化状態と猛毒状態が重なり地獄の水となります

(水温)

メダカが最も活発に活動する水温は23℃です。この水温範囲に飼育水が保たれていれば、エサ食いも良く、成長も早いものです。メダカを早く大きくしたいときには、水温を高めに設定します。しかしあまり水温が高すぎると、食欲が落ちてきます。(水温が高すぎる)真夏に繁殖行動が鈍ってくるのはそのためといえます。
メダカにとって、一日の水温変化の幅が大きいとストレスになりますので、最低温度を一定に保つようなヒーターの使用は病気の発生を防ぐ意味でかなりの効果があります。

1日当たりの温度変化は、最低でもプラマイ5℃以内に抑えましょう。
また、水温が低くなるとメダカは冬眠状態になり入れ物の底の方でじっとしていたり植物の影などに隠れたりします。

<エサについて>

メダカのエサは、粒状、パウダー状などがあります。
メダカの成長に合わせて1日2回(朝と夕方)くらいで食べきれる量を与えましょう。
少なめで数回に分けて確実に食べさせることによりメダカの健康にするのと水が汚れるのを防げます。
出来ればミジンコやボーフラ等の生き餌を時たま与えるとメダカが喜びます。
市販の餌でオススメなのはどじょう養殖研究所の水源です。比較的水が汚れません。デメリットは、ほとんどのお店で見かけないのでネットじゃないと買うのが難しいです。

<メダカの繁殖>

オスとメスが同じ水槽にいればメダカの種類にかかわらず繁殖は可能です。メダカは日照時間が長くなると繁殖を開始し、短くなるとやめてしまいます。つまり、水温の上がる夏を中心に繁殖行動をします。屋外の池やプランターなどでメダカを飼う場合には自然の摂理に任せておけばよいのですが、水槽などで積極的に子どもを増やそうとする時には、人工照明を1日14時間以上、かつ、ヒーターを使って水温を20℃以上(できれば25℃位)に維持しておくと、冬の寒い時期でも卵を生ませることができます。

(卵を守る) ~卵を孵化用の水槽に移す~
産卵した卵は親メダカが卵を食べてしまう恐れがあるため別の水槽で保護する必要があります。卵がくっついている水草や藻ごと移します。
孵化用の水槽は、フィルター以外は親メダカ水槽と基本的に同じ環境にしてください。底砂利を敷き、卵がくっついた水草や藻を入れます。フィルターの水流は子メダカにとって強すぎて、吸い込まれてしまう為、フィルターは設置せずにエアレーションを弱めに行います。

(孵化するまでの卵の変化)
卵が孵化するには水温25℃の場合、約10日間(250℃日)必要と言われていますが、水温によって孵化する日数は変わります。
(成長)
孵化がある程度進んだら、殻がゴミとなって溜まっている場合があるので、これらをスポイト等で取り除いてあげましょう。

(環境)
水温は25℃に保ちます。
稚魚は水質の変化に敏感なので、なるべく水替えはせず、生まれた飼育水から水質を変えないようにしましょう。
孵化して1週間くらい経つと最初のpHショックを起こすので、牡蠣殻を入れておくと良いかと思います。
通常環境ではエアーレーションで水流ができてエサが流れてしまったり、沈んでしまうなどの問題がありますので、水流のない環境をつくることも必要です。また水流があることによって体力の無い稚魚は泳ぎ疲れてしまいます。

(エサ)
孵化した時の稚魚は4mm~5mmで孵化後3日ほどで卵黄を吸収し終えてエサを食べるようになります。
一日1回~2回粉末状の稚魚用のエサや親メダカのエサをすりつぶして稚魚に与えます。粉末状のエサを与える場合には水面に浮いている時間がある程度必要です。与えすぎは水を汚すので気をつけてください。
2、3週間ほどして、稚魚がある程度大きくなってくれば、親メダカのエサを細かくしたものを与えると良いでしょう。
またグリーンウォーターの中で稚魚を育てると、植物プランクトンがよく発生していますので、動物性ブランクトンが増殖して稚魚のエサ替わりとなります。

<飼育環境>

(室内飼育のメリット)

・屋外飼育より色々なレイアウトが出来る
・1年中繁殖可能
・特に天敵がいないので安心
・水温の変化も少なく安定させられる

(室内飼育デメリット)

・屋外より設備にお金がかかる
・水換えが少し手間
・ランニングコストがそれなりにかかる
・病気が出やすい
・部屋が若干臭い

(屋外飼育のメリット)

・水生植物と一緒に育てる事ができる
・飼育器具が少なく、飼育が簡単
・室内飼育のように横から鑑賞するわけではないので、身近な容器で飼育できる
・四季の移り変わりや自然を感じながら楽しむ事ができる

(屋外飼育のデメリット)

・冬は鑑賞できない
・上からしか鑑賞できない
・天敵に狙われやすい
・水温変化が大きい